ブランドはなぜ墜ちたか―雪印、そごう、三菱自動車事件の深層産経新聞取材班
角川書店 刊
発売日 2002-03
説得力のあるドキュメント! 2004-12-29
雪印乳業食中毒事件とそれに続く雪印食品牛肉偽装事件、そごう破綻と乱脈経営、三菱自動車のクレーム隠し事件という一流ブランドが起こした企業犯罪。この3つの事件の深層を探ったこの本は迫真といえる内容である。その企業の生い立ち、業界事情から説き起こし、なぜその事件が起きたかを追求している点が非常に優れている。特に、最初の雪印事件では、北海道酪農との関係が変化してゆく様、過剰なまでの製造日付競争など業界事情をくまなく取材しておりかなりの説得力があった。そごう事件では、カリスマ経営者水島社長の浮動担保理論と拡大店舗戦略との関係を推理していて、これも実に興味深い。まだ記憶に新しいこれらの事件だが、その後も企業倫理の欠如した犯罪は後を絶たない。むしろ、ここに示された3つの事件が発端となって、もういい加減にしてくれ、と言いたくなる様な事件が延々と続いている。どの企業もここに示された3つの事例と酷似している。それは日本の企業では珍しいことではないし、ありがちなことが積み重なることによって起きているからだろう。日本病といえるかもしれない。すべての企業が同様のリスクを内蔵している。このことをあえて直視し、向き合い立ち向かわねば、今の状況から脱しきれないのではないか。著書はそのことを示している。
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